2017年6月議会 質疑・討論(若江まさし議員問責決議)

———-<以下、決議文>———-
若江まさし議員の政務活動費の執行に対する問責決議

若江まさし議員(以下「若江議員」という。)が平成27年度に執行した政務活動費のうち広報費62万6,346円が、会計処理終了後1年近く経過した平成29年2月に返還された。
いったん精算を完了した政務活動費について、このように多額の返還が発生することは異例のことであり、また、政務活動費の支出に関しては、近年、全国的に不正事案等が散発し、市民の厳しい目が向けられているところである。
そのため、政務活動費の透明性確保の観点から、活動報告チラシの印刷、配布、廃棄の状況等について数度の調査が行われたが、若江議員は、チラシの納品時点で数量確認を行っていない、配布エリアや枚数について記憶が定かでない、廃棄の時期や枚数について把握していないという状況が判明した。
今回の事案について不当または不正な支出があったかどうかは、これまでの調査で判然とはしなかったものの、説明に臨む姿勢が、市民の負託を受けた市議会議員として真にふさわしいものであったかどうかは、若江議員自身が改めて自問し、しかるべく対処すべきである。
政務活動費を返還したことが説明責任を免除することにならないのは言うまでもなく、真摯に説明を行わず、あいまいな対応に終始した若江議員の責任を問うものである。
以上、決議する。

———-<以下、賛成討論>———-
決議案第3号 若江まさし議員の政務活動費の執行に対する問責決議について賛成の立場で討論を行います。

平成29年2月22日付で、若江議員から平成27年度に執行した政務活動費799,357円のうち、広報費として支出していた626,346円を返還したいとの申し出が行われました。しかし、「配りきれずに数万というチラシを廃棄した」という理由であること、廃棄は平成27年度中に行われたにもかかわらず、翌年度の末近くになってから返還の申し出が行われたこと、その金額が大きかったことなどから、政務活動費の透明性確保という観点で、聞き取り調査が行われました。

平成27年度の執行が認められたということは、必要な書類が整っているということですが、改めて調査をしてみると、チラシの印刷およびデザインを発注した「オフィスクリモト」の領収書の住所には、トタン屋根の、到底、事務作業等を行えそうにはない、いわゆるバラック小屋、物置小屋のようなものしか建っていないことがわかりました。
近年、領収書の偽造や改ざんによる政務活動費の不正自給の事案が散発しており、政務活動費の執行に関して、市民の厳しい目が向けられていることから、確実に「オフィスクリモト」が営業されているのか、実際にチラシが印刷され配布されたのかを中心に、若江議員に聞き取ることから調査が始まりました。

オフィスクリモトについては、数年前から営業権が「小西彦治県会議員の幼馴染である担当者」に移っているということですが、その担当者と若江議員は面識もなく、電話とメールでやり取りするだけで名字だけしか知らないこと、その担当者は昼間、運送業も営んでおり、仮に立会い等を行う場合は夜間になること、若江議員が担当者に連絡をとろうと何度も電話やメール、ショートメールをおこなったが、ずっと連絡が取れないでいたことなどがわかりました。

担当者は仮に立会いをするとしても夜間となること、若江議員の連絡にもなかなか応じないというほど忙しく運送業を営んでいるなかで、「印刷・広告・事務用品・インテリアから各種雑貨まで店舗取扱商品を総合プロデュース」すると謳っており、また若江議員からの仕事だけでなく、小西県会議員の県政報告チラシのデザインや印刷、ポスティングを行うなど、その他の選挙や議員の仕事まで抱えている「オフィスクリモト」の業務をどのようにこなしているのか、本当に業務をおこなっているのかなどの疑問に十分に答えられず、聞き取りを進めれば進めるほど、疑念が広がっていったのが、今回の調査の特徴と言えます。

例えば、担当者と小西県会議員は幼馴染であると若江議員から説明がありましたが、担当者自らが出された公的書類に記載の生年月日と小西県会議員のプロフィールに掲載されている生年月日を見比べると、7歳の差があることがわかります。通常、幼馴染とは小学校就学前後時代の近隣に住む友達のことを指しますが、小西県会議員が小学校に入学した日にはまだこの担当者はうまれてもおらず、小学校3、4年生のころにはまだ2,3歳でしかありません。幼馴染であるという、通常では疑念を抱きにくいような情報ですら、つじつまが合っていません。
また、市政活動報告を印刷できる業者に心当たりがなく、小西県会議員に相談して紹介されたのがオフィスクリモトであると、説明されていますが、若江議員の選挙チラシやポスターもオフィスクリモトが印刷を担当しています。収支報告書を確認しましたが、若江議員自身の筆跡で「オフィスクリモト」と書かれておりますし、その連絡先を記した領収書も手元にあったのですから、この説明も到底、納得できるレベルのものではありません。

「オフィスクリモト」に関することは小西県会議員から聞いた範囲内での説明であり、詳細な説明までできないことがあるのは理解できますが、「オフィスクリモト」の担当者からの資料やメールを含めて勘案しても、オフィスクリモトがどこで、どのように継続して商取引をおこなっているのかはいまだにクリアになっておりません。

また、「実際にチラシが印刷され配布されたのか」という疑念に対しては、若江議員自身が、発注し、配布したものですから、きっちりと説明できなくてはいけません。
仮にオフィスクリモトの営業実態が説明できなかったとしても、発注・配布等の状況について説明できれば、印刷も配布も廃棄もあったと推認出来るはずです。
さて、若江議員の説明では、平成27年夏号は40,000部、平成27年秋号は25,000部、平成28年新春号は10,000部、平成28年春季号は20,000部を印刷しており、各号5,000~12,000部の配布を行ったが、どこにどの程度ポスティングしたのかは、把握していないとのことでした。また、検品についても、目の前に大量に段ボールが積まれていることは確認したが、箱数での数量確認や印刷物の内容などの確認すら行っていないということでした。

最初の40,000部の発注は「1日800~1,000部ポスティングし、次の議会まで40~50日ぐらいはポスティングに充てられるだろう」という小西県会議員のアドバイスにより発注したものだという説明ですが、一日の配布枚数の目安と、配布日数により導き出された発注枚数ですから、通常、発注した本人である若江議員がポスティングをする際には、1日800~1000枚というのが配布の目標となるはずです。また、その目標と実際の配布枚数のズレが40~50日という配布日数や一日の配布時間に大きく影響してくるでしょうから、実際の配布枚数を数えていないということはあり得ません。ましてや配りきれないほど大量にチラシが残っている、倉庫に山積みされている状況で、一日や一時間当たりの配布枚数、残りの配布可能日数を意識しないなんてことがあり得るのでしょうか?

また、2回目の発注は25,000部ですが、若江議員の説明にもあるように各号5,000部から12,000部の配布、つまりは最大でも12,000部の配布しかできていないのに、なぜその倍以上の25,000部を発注できたのでしょうか。少なく見積もっても平成27年夏号が28,000部以上余っている状況で、それと同程度の部数のチラシを発注しようなどと考える人がどこにいるのでしょうか?
仮にその発注ができる人がいたとして、その人は公金で印刷したチラシを大量に廃棄することが平気な人でなければ無理であるはずです。少なくとも一度は、廃棄のために若江議員自身がチラシの入った段ボールを移動しています。当時、若江議員は、公金で印刷したチラシを大量に廃棄することに何も思わず、何も感じなかったのでしょうか?
仮に何かを感じていたとするのであれば、初めて大量のチラシを廃棄した時期、若江議員の説明によると数か月の後、つまりは平成27年の秋ごろに、公金で印刷したチラシを大量に捨てた罪悪感を感じているはずですし、感じていれば、遅くとも平成27年度中に政務活動費での支出から自己資金でのチラシ印刷へと変更していたはずです。なぜ、1年以上も経ってから返還する気になったのでしょうか?年内に2回連続で大量に廃棄しているのにもかかわらず、同僚議員から1年後に指摘されて初めて、返還を考えたという説明から推測するに、廃棄当時は全く罪悪感を感じていなかったと言わざるを得ません。議員としてあり得ない感覚だといえます。

さらに、チラシ廃棄の時期についてですが、現在の説明では、チラシの納品から数か月後、次のチラシが納品されたころとされていますが、当初の回答では半年から1年程度後に廃棄したと説明しております。その食い違いについて指摘されましたが、若江議員はその場では答えずに「改めて整理して資料として提出する」とし、現時点においてもその資料の提出や詳細な説明はありません。

このように、若江議員自身が主体的に関与している発注、配布、廃棄に関しても肝心なところでつじつまの合わない説明を繰り返しています。

さて、今回の政務活動費の執行に関して、書類上、執行に必要な手続きが整っているといわれています。このことを我々議員はもう一度深く考える必要があると思います。原則として、議長、事務局がおこなうチェックは、書類上の不備がないかということのみで、政務活動費の執行に関して、適正な執行が行われたかどうかを監査するものではありません。
それはなぜか。
それは、我々議員が、当然のように適正に執行しているという前提にたっているから、議員は政務活動費の執行にあたって、自ら説明する責任、いわゆる説明責任を負っているからなのです。
つまりは、いざとなれば、執行に関しては議員自らが説明し、説明責任を果たすという担保があるからこそ、性善説に立って、書類上の不備だけをチェックするシステムになっているのです。
ですから、書類が揃っていたとしても、説明責任を果たさなければ、適正とはいえないのです。
説明責任とは、単に「説明する責任」といった一方向のものではなく、説明する相手に納得してもらうことまでを含めた双方向のものだと言われています。年に96万円もの公金を自らの意志で執行できるという公職にあるからこそ、それに付随する説明責任は大きなものです。そして同時に、説明責任を果たせない責任というものもまた大きなものですから、公職に就く者は、ふさわしい身の処し方をするのが通常です。
そうである以上、若江議員本人も「説明責任を果たせていない」と言っている状況にあっては、今回の政務活動費の執行は適正であると認めることは到底できません。
最後に、若江議員があいまいな説明に終始したのは、関係者から脅されていたからだとか、若江議員が代表者会で説明したことと食い違う供述があるだとかいう話が聞こえてきますが、そのような新たな事実、調査すべき事項が出てきた場合には、速やかに調査を再開すべきだという意見を付言しておきます。

以上より、政務活動費の執行に関して、これらの責任を若江議員に問う本決議案に賛成すべきと考えます。