2017年3月議会 反対討論(平成29年度一般会計予算)

議案第1号 平成29年度宝塚市一般会計歳入歳出予算について、反対の立場で討論を行います。

 今回の一般会計予算は、4月に市長選挙を控えているため骨格予算となっています。その規模は730億円。一般財源で見ると、約500億円となっています。
 一般財源となる歳入は、目一杯見込んでいるにもかかわらず、肉付け予算の財源になるであろう予備費には、財政調整基金からの取り崩し1億円を除けば、5000万円しか計上されていません。

 一方、平成28年度の当初予算を見てみると、一般財源の規模は514億円となっており、財政見通しでも平成29年度の一般財源を同程度必要であると見積もっております。また、国民健康保険事業の累積赤字補填分としての繰出金や市立病院へ貸付金など、これまで一般財源を充ててきた事業は骨格予算には計上されておらず、これらのことから考えると、肉付け予算に必要な一般財源は少なく見積もっても10億円以上ということになります。
 そんな中にありながら、一般財源となる歳入は見込みを割り込む可能性も秘めています。

 例えば、地方譲与税や交付金、交付税です。
 平成29年度の当初予算では、これらの合計は94億3千万円で、平成28年度の決算見込みと比べれば、6億6千万円も多く見込んでいます。平成28年度当初予算から比べると、この決算見込みでは、13億8千万円余も減額されています。平成29年度の地方財政計画の規模が平成28年度と同程度であることや、地方交付税額が減額傾向にあることなどを合わせて考えると、平成29年度当初予算の見込みを割り込む可能性は高いといえます。
 また、歳出においては、毎年度2,3億円程度発生する自立支援事業の超過負担額は当初予算の段階では見込んでいないため、歳出面から一般財源が増える可能性が高いことも指摘しておきます。

 肉付け予算に必要な一般財源は、少なく見積もっても10億円以上となる一方、実際に予備費として計上されている一般財源は5000万円である以上、基金の取り崩しに頼らざるを得ないことは、誰の目にも明らかです。
 実際に、平成26年度からは、予算編成を基金の取り崩しに頼っているのが現状です。
 平成26年度の基金の積立額は5億5千7百万円余ですが、取り崩し額は、16億9千3百万円余となっており、基金残高を11億円以上減らしています。
 平成27年度は8億3千万円、平成28年度は見込みですが、14億2千万円弱基金残高が減っています。

 つまり、この3年で33億8千7百万円も基金残高を減らして、予算編成をしていることになります。付け加えると、この間、借金残高は772億円から752億円と20億円しか減っていません。借金残高は20億円しか減っていないのに、基金残高を30億円以上も減らし、更には今後5年間で40億円以上の財源不足の可能性があるというのは、「ここ近年の市政運営は異常である」と言う他、言葉が見当たりません。
 その結果、例えば、繰替え運用という視点から考えると、基金総額80億円というのが安全圏と言う答弁がありましたが、平成29年度当初予算の段階で、すでに基金残高は82億円余となっており、限界に来ていることがわかります。
 また、「標準財政規模の1割以上の財政調整基金を確保する」という唯一と言っても良い基金残高に関する指標がありますが、平成29年度当初予算の標準財政規模が約450億円に対して、財政調整基金の残高は44億7千万円余と、もうこれ以上、財政調整基金の取り崩しが出来ないギリギリの所まで来ています。

 このように、これまでも基金を取り崩す前提の予算編成をしてきたがために、平成29年度当初予算の段階では、すでに基金頼みの予算編成は限界に来ているといえます。
 つまりは、骨格予算と言いながら、見込まれる一般財源を、ほぼ全て使い尽くしている当初予算となっており、経常収支比率が示している以上に、柔軟性が全くない財務体質であるということがわかります。

 今回の骨格予算の編成方針として、「義務的経費や経常的経費に加えて、継続的に取り組んでいる事業や市民生活に密着した事業などの経費を盛り込み、原則として政策的判断を要する経費は計上していない」としていますので、誰が市長になっても計上する経費で一般財源をほぼ使い尽くしていることになり、ウラを返せば、市長の政策的な判断を反映する余地が無い予算と言え、これは常識的に考えれば、あってはならない骨格予算だと言えます。このことが骨格予算に反対する大きな要因であります。

 さて、骨格予算の段階で、既に一般財源を使い切るような予算編成をこれからも続けるわけにはいかないということは、宝塚市の将来に対して責任ある皆さんなら、おわかりのことかと思います。
 だからこそ、昨年7月に策定された「第2次宝塚市行財政運営アクションプラン」を確実に実行し、行政も議会も協力しながら、成果を上げていくことがより重要になってきました。
 しかしながら、確実な実行が即、成果を上げることにつながっていないという認識も、同時に持つ必要があります。

 例えば、今回のアクションプランの主要項目と言える「人件費の削減」ですが、職員の給料減額等、確実に実行している反面、人件費を比較すると、その効果が現れていません。職員の給料減額等を行えば、3億円強の効果が上がると、アクションプランでは示されていますが、基準年となる平成27年度と平成29年度当初予算を比較すると、1億円程度の減額にしかなっていません。
 人件費の1億円程度の減額と言うのは、財政見通しを見ると、毎年同程度の減額が既に見込まれているため、織り込み済みの効果でしかありません。ですから、そこから更に生じる財源不足への対策という意味では、全く効果が出ていないと言うことになります。
 これらの効果を打ち消した大きな要因が、人事院勧告に基づく給料のベースアップであるということですが、本当の意味で成果を上げるためには、人事院勧告の見送りという非常手段もやむを得ない判断であると覚悟しておく必要があります。
 これらのことをしっかりと認識した上で、アクションプランの確実な実行がなされているかという入口でのチェック、そしてそれらの成果として、財政的な効果が出ているのかという出口のチェックの双方を、行政も議会も、行っていく必要があります。
 アクションプランは、歳入の増加というよりも、歳出の削減が取り組みの主となっています。つまり、これらの項目が確実に実行され、成果が上がった暁には、予算規模が縮小されているはずです。
 現在の一般財源規模から考えると、骨格予算は700億円前後、肉付け予算も含めれば730億円から750億円程度にしなければなりません。

 先にも指摘しましたが、現在のように基金の取り崩しに頼った予算編成は長く続かないということは誰の目にも明らかです。
 行政も議会も、一体となって予算規模を適正に縮小していくべきであるということをここで指摘しておきます。

 さて、行革特別委員会や予算特別委員会の質疑を通して、副市長以下、行革部門の危機感や真摯に取り組もうとする姿勢は、評価すべきものと思っています。
 その危機感や真摯さは、宝塚市の将来に対する責任からのものであると、私は信じています。
 私も宝塚市の将来を考えた上で、このような予算編成を今後も続けてはいけないとの思いから、今回の骨格予算に反対しようとしています。
 行革は取り組めば取り組むほど、煙たがられる部署であろうかと思いますが、私たちは市民のために仕事をしているということ、もう少し言えば、市民とは、過去・現在・未来に渡っての市民であるということを認識し、成果をあげられるよう取り組んでいただきたいと思います。

以上で、討論を終わります。