2013年6月議会 反対討論(慰安婦決議)

決議案第11号 橋下徹大阪市長の「慰安婦に関する発言」等に対する決議(案)について反対討論を行います。

 

まず、この決議案の要旨は、去る5月13日に橋下徹大阪市長が「第二次世界大戦当時は慰安婦制度が必要だった」と発言し、女性をはじめとする人々の人格否定と人権侵害を行ったというものです。

一方、本年5月27日、日本外国特派員協会の会見において、橋下徹大阪市長は次のように述べています。

 

かつて日本兵が女性の人権を蹂躙したことについては痛切に反省し、慰安婦の方々には謝罪しなければなりません。同様に日本以外の少なからぬ国々の兵士も女性の人権を蹂躙した事実について、各国もまた真摯に向き合わねばならないと訴えたかったのです。

あたかも日本だけに特有の問題であったかのように日本だけを非難し、日本以外の国々の兵士による女性の尊厳の蹂躙について口を閉ざすのはフェアな態度ではありませんし、女性の人権を尊重する世界を目指すために世界が直視しなければならない過去の過ちを葬り去ることになります。

戦場の性の問題は、旧日本軍だけが抱えた問題ではありません。第二次世界大戦中のアメリカ軍、イギリス軍、フランス軍、ドイツ軍、旧ソ連軍その他の軍においても、そして朝鮮戦争やベトナム戦争における韓国軍においても、この問題は存在しました。

このような歴史的文脈において、「戦時においては」「世界各国の軍が」女性を必要としていたのではないかと発言したところ、「私自身が」必要と考える、「私が」容認していると誤報されました。

 

さて、この決議案では、橋下徹大阪市長の発言が人格否定と人権侵害を考慮せずになされたものであるという前提に立っています。

しかし、この会見から橋下徹大阪市長の考えは、人格否定と人権侵害といったものは真意を伝えたものではなく、いわゆる慰安婦問題というものは日本に限らず、他の国々にも存在する問題であるという事実を問題提起したものであるといえます。

さて、このように双方が対立した主張をしている問題に対し、宝塚市議会がそのどちらが正しいかを多数決でもって決めようとしているのが今回の決議案であります。

発言した本人が「真意ではない」と言っているのに、「嘘をついている!」と言わんばかりに抗議を行う正当性、妥当性があるのでしょうか。

一方の意見が正しいと判断し、他市の市長に対して抗議することが宝塚市民にとってどれほどの利益になるのでしょうか。

世の中を二分するようなイデオロギーや対立する主張の一方のみを取り上げて、抗議することが公平で公正な判断が求められる議会のなすべきことなのでしょうか。

今回の決議案はこのような疑問を持つ市民に対し、納得を与えるよりもむしろ失望を与えかねないと判断し、反対いたします。